投資信託 vs 変額保険【シミュレーション編】

保険

前回投資信託 vs 変額保険の理論編ということで、自分で投資信託買って運用するのと、変額保険で運用するののそれぞれのメリット・デメリットにどういうものがあるかを書いてきました。

結局の所考えるべきことはシンプルで、

保険での資産運用のメリットである下記の2点が、

  1. 生命保険料控除(拠出時の優遇:年間数千円〜1万円程度)
  2. 一時所得の特別控除(受取時の優遇:利益の50万円まで非課税)

保険での資産運用のデメリットである

  1. 保険関係費(拠出金額の12%~20%程度、保険会社のどの商品かによって変わる)

を上回るかどうかで、投資信託を直接買うべきか、保険で資産運用するべきかが決まるということです。

(流動性やリバランスのしやすさは一旦観点から除外)

この記事では、
・月に支払う金額
・運用中の利率(年利)
・運用期間
・所得税率

の3つの変数を使って、どういうケースの場合変額保険のほうがお得になるのかを見ていきます。

実際の数字でシミュレーションしていますので、Youtube等で言われている保険での資産運用をオススメしないというのが正しいのか正しくないのかをきちんと確かめることができます。

この記事を読めばどのように投資していくべきかを納得感が得られるのではないかと思います。

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シミュレーションの前提

シミュレーションの結果に行く前に、シミュレーションの前提について書きます。

リターンの計算

最終的なリターンの良し悪しはIRR(内部収益率)で比較します。
→IRRで比較することで、生命保険料控除等を考慮した上で、自分で投資信託を買う運用と保険での運用どちらが優れているかを比較することができます。

税引き前・保険関係費控除前の年率は投資信託も変額保険も同じとします。
→インデックス運用が優れている年も変額保険によるアクティブ運用が優れている年もあるのですが、期待値的にはどちらも同じくらいと想定しています。
詳細は下記の記事を御覧ください。

・税引き前・保険関係費控除前のリターンは楽天証券の「積立かんたんシミュレーション」を利用しています。

積立かんたんシミュレーション:楽天証券
目標金額から、毎月の積立金額をシミュレーションしてみませんか?目標金額を達成するために、月々いくらの積立が必要なのか、すぐご確認いただけます。

保険関係費

保険関係費は運用総額の13%が取られるとします。
→これは私が保険の営業の人から提案されたソニー生命の変額個人年金の設計書をもとにざっくり計算しています。

個人年金保険なので13%くらいで済んでいますが、終身保険等の場合は20%近くまで取られるものもありますので、注意しましょう。

税金関連

・特定口座の場合、利益に20%の税金がかかるとします。
→復興税は考慮していません。

生命保険料控除はフルで使える想定とします。
他に掛け捨ての保険等に入っていない前提です。

・一時所得控除の50万円超過後のかかる税金は30%(所得税20%+住民税10%)としています。
→実際は所得税率10%の場合もありますし、一時所得分で階級が一つ上がって23%になる可能性もあります。

シミュレーション結果

以上をもとにシミュレーションを実施した結果です。

運用年数は10年・20年・30年、年利は5%と10%、月額は5000円、1万円、2万円のそれぞれにおいて、

自分で投資信託を買って運用した場合の実質年利(=内部収益率)を4列目に、

変額保険で運用して、所得税20%の場合、10%の場合、生命保険料控除がない場合のそれぞれの実質年利を5列目〜7列目に記載しています。

より詳細なデータは記事の末尾につけておきます。

月額5,000円拠出する場合

まずは、月額5,000円の場合です。

運用年数年利月額投資信託変額保険
(税率20%)
変額保険
(税率10%)
変額保険
(控除なし)
105%50003.81%5.33%4.13%2.14%
205%50004.12%5.16%4.57%3.59%
305%50004.30%4.87%4.50%3.87%
1010%50008.01%10.22%9.04%7.08%
2010%50008.83%9.74%9.19%8.27%
3010%50009.27%9.78%9.44%8.88%

年利が5%の場合も10%の場合も変額保険での運用が投資信託での運用より優れています。

これは月の拠出金額が5000円のように少額だと生命保険料控除によるキャッシュバックが比重として大きくなるためです。

月額5000円の場合は所得税率が10%の場合でも変額保険での運用が投資信託での運用より優れている結果です。

所得税率20%の場合は投資信託での運用より1%以上も有利になっていることが多く、変額保険での運用がオススメです。

一方で、他の生命保険で枠を使い切っている場合は保険料控除を受けることができません、その場合は保険関係費が引かれる分だけ投資信託での運用に対して不利になります。

まとめると、生命保険料控除を使い切っていない場合は、所得税率が20%でも10%でも月額5000円の変額保険の運用はオススメということになります。

月額10,000円拠出する場合

次に、月額10,000円の場合です。

運用年数年利月額投資信託変額保険
(税率20%)
変額保険
(税率10%)
変額保険
(控除なし)
105%100003.81%3.83%3.19%2.14%
205%100004.12%4.24%3.92%3.40%
305%100004.30%4.34%4.14%3.81%
1010%100008.01%8.62%7.99%6.96%
2010%100008.83%8.95%8.65%8.17%
3010%100009.27%9.34%9.15%8.86%

月額1万円拠出する場合は、年間12万円の支払いが発生しています。

保険料控除は所得税については8万円、住民税については56000円が上限となっているので、節税観点からは無駄な保険料支払いが増えています。

そのため、所得税10%の場合は、全てのケースで自分で投資信託を買うよりも低い利率となっています。

所得税10%の場合は保険での資産運用は月額5000円程度に収めておくのがよいでしょう。

所得税20%の場合は、年率5%のケースだと投資信託を自分で買うのとほとんど同じになっています。

一方で、年率10%で運用期間10年だと投資信託を大きく上回っており、考慮の余地はあるでしょう。

まとめると、所得税10%の場合は保険での資産運用は月額5000円に収めるべきだが、

所得税率20%の場合は株式100%等で高いリターンを求めるケースでは変額保険での資産運用もアリかなと思います。

月額20000円拠出する場合

最後に月額2万円拠出する場合です。

運用年数年利月額投資信託変額保険
(税率20%)
変額保険
(税率10%)
変額保険
(控除なし)
105%200003.81%2.97%2.66%2.26%
205%200004.12%3.72%3.56%3.36%
305%200004.30%4.04%3.94%3.81%
1010%200008.01%7.39%7.09%6.69%
2010%200008.83%8.50%8.35%8.17%
3010%200009.27%9.08%8.99%8.88%

月額2万円を拠出する場合は、全てのケースにおいて変額保険で資産運用するのが自分で投資信託を買うのに負けています。

月額1万円払っている場合と月額2万円払っている場合で受けられる生命保険料控除の額は同じなのに、取られる保険関係費は上がっているためです。

月額2万円も保険で運用するのはもったいないので、自分で投資信託を買って運用するほうがよいと言えるでしょう。

まとめ

自分で投資信託を買って資産運用する場合と変額保険で資産運用する場合について、どちらが高いリターンを得られるかを検証してきました。

シミュレーションのため、細かい部分は個々人の状況によって違うため、あくまで参考程度ですが、一般的には下記のことが言えると思います。

  1. 他の保険に加入していない場合は、月額5000円の変額保険での資産運用は効率が良いので、オススメ
  2. 所得税率が20%を超えている場合は、月額1万円程度までなら変額保険での資産運用もアリ

一方で、変額保険をオススメしないケースとして下記です。

  1. 他の保険に加入していて、生命保険料控除を使い切っている場合は、変額保険ではなく自分で投資信託を買うのがオススメ
  2. 月額2万円以上投資をするなら(生命保険料控除が使えたとしても)自分で投資信託を買って資産運用するのがオススメ

まとめると、サテライトとして小さい金額を変額保険で回すのは節税効果も含めて効率的だが、

メインの資産運用としては自分で投資信託を買うのがオススメかなと思います。

この記事を書いている中で私自身、変額保険の少額の運用効率的な投資としてアリだと確信したので、私の中での投資初心者へのオススメステップに追加かなと思いました。

今現在のオススメステップとしては、

iDeCo(12,000~23,000円)→つみたてNISA(33,333円)→変額個人保険(5,000~10,000円)→楽天カード積立(16,667円)→特定口座で通常購入

というのが税優遇・ポイントを使い倒した効率良い投資方法かなと思いました。

付録:全シミュレーションデータ

運用年数を5年毎、年利を3%と7%も追加しています。

運用年数年利月額投資信託保険(税率20%)保険(税率10%)保険(控除なし)
103%50002.24%3.45%2.24%0.24%
153%50002.33%3.32%2.50%1.15%
203%50002.40%3.25%2.64%1.63%
253%50002.44%3.20%2.72%1.92%
303%50002.48%3.09%2.70%2.04%
105%50003.81%5.33%4.13%2.14%
155%50004.00%5.26%4.46%3.14%
205%50004.12%5.16%4.57%3.59%
255%50004.22%4.96%4.50%3.74%
305%50004.30%4.87%4.50%3.87%
107%50005.44%7.25%6.06%4.09%
157%50005.74%7.25%6.46%5.17%
207%50005.94%6.92%6.35%5.40%
257%50006.10%6.80%6.36%5.62%
307%50006.22%6.77%6.41%5.81%
1010%50008.01%10.22%9.04%7.08%
1510%50008.50%9.92%9.16%7.89%
2010%50008.83%9.74%9.19%8.27%
2510%50009.08%9.73%9.31%8.60%
3010%50009.27%9.78%9.44%8.88%
103%100002.24%1.94%1.29%0.24%
153%100002.33%2.30%1.86%1.15%
203%100002.40%2.49%2.16%1.63%
253%100002.44%2.50%2.24%1.82%
303%100002.48%2.51%2.30%1.95%
105%100003.81%3.83%3.19%2.14%
155%100004.00%4.25%3.82%3.12%
205%100004.12%4.24%3.92%3.40%
255%100004.22%4.28%4.04%3.63%
305%100004.30%4.34%4.14%3.81%
107%100005.44%5.77%5.13%4.09%
157%100005.74%5.98%5.56%4.87%
207%100005.94%6.06%5.75%5.25%
257%100006.10%6.17%5.93%5.54%
307%100006.22%6.28%6.08%5.77%
1010%100008.01%8.62%7.99%6.96%
1510%100008.50%8.72%8.31%7.64%
2010%100008.83%8.95%8.65%8.17%
2510%100009.08%9.16%8.93%8.56%
3010%100009.27%9.34%9.15%8.86%
103%200002.24%1.07%0.76%0.35%
153%200002.33%1.71%1.50%1.23%
203%200002.40%1.95%1.79%1.59%
253%200002.44%2.08%1.95%1.79%
303%200002.48%2.18%2.08%1.94%
105%200003.81%2.97%2.66%2.26%
155%200004.00%3.48%3.27%3.00%
205%200004.12%3.72%3.56%3.36%
255%200004.22%3.90%3.78%3.62%
305%200004.30%4.04%3.94%3.81%
107%200005.44%4.81%4.50%4.10%
157%200005.74%5.25%5.04%4.78%
207%200005.94%5.57%5.42%5.23%
257%200006.10%5.81%5.69%5.54%
307%200006.22%6.00%5.90%5.78%
1010%200008.01%7.39%7.09%6.69%
1510%200008.50%8.04%7.84%7.58%
2010%200008.83%8.50%8.35%8.17%
2510%200009.08%8.83%8.72%8.58%
3010%200009.27%9.08%8.99%8.88%

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