保険の資産運用を検討しており、変額保険をメインに見ています。
変額保険はソニー生命のものが一番メジャーかと思いますが、2017年にできた比較的新しい変額保険として東京海上日動のマーケットリンクというものがあります。
自分でもいろいろ調べて、営業の人にも話を聞いた中で、マーケットリンクはお得なのかについて分析してみました。
保険での資産運用を検討してる方はぜひ見ていってください。
結論
東京海上日動のマーケットリンクは、投資という観点ではソニー生命の変額個人年金に劣るため、投資として加入するのはナシ。
保険での資産運用をするのであれば、明治安田生命のじぶんの積立かソニー生命の変額個人年金の二択かなと思います。
安定を求めるのであればじぶんの積立、ある程度リスクをとってでも増やしていきたいならソニー生命かなと思います。
いずれにしても、保険での資産運用を効率的にできるのは月5000円までの範囲なので、それ以上になるなら、自分で直接投資信託を買ったほうが良いです。
保険の種類
東京海上日動あんしん生命が販売している変額保険になりますが、
他の保険と比較する上で、変額保険とは何かや終身保険と個人年金保険の違いを簡単に説明します。
変額保険とは何か?
詳細は別の記事で書いていきますが、変額保険とは支払った保険料のうちの一部を保障に充てて、残った分を投資信託等で運用する保険になります。
投資信託等で運用する分通常の保険(定額保険)と違って利率がかなり良くなる可能性がある一方で、将来どれくらいもらえるか(満期金額)が約束されていないという保険商品です。
通常の保険と比べてハイリスク・ハイリターンと言えるでしょう。
変額保険の中でも終身型と個人年金型があり、終身型は死亡保障等には最低保証額がある一方で、個人年金型は死亡保障等にも最低保証額がなく、運用成績次第で変動するものになります。
個人年金のいいところとして、死亡保障等を削っている分、保険関係費が少なくなるので、終身型と比べると保険会社に取られるお金は小さくなります。つまり、返戻率が終身型と比べると良くなります。
東京海上日動のマーケットリンク
この記事の本題であるマーケットリンクについて解説します。
概要
マーケットリンクは冒頭でも記載したように変額保険になります。
変額保険ですが、個人年金型はなく終身型もしくは有期型となります。
ソニー生命の変額保険は個人年金型もあるため、投資という観点からはソニー生命のほうがラインナップが充実しているかなと思います。
変額保険ですので、毎月保険料を拠出して、自分が決めた方法で運用していく形になります。
マーケットリンクでは運用する投資信託として7種類を選べて、
国内外の株・債券に分散投資をするバランス型2種類と国内株・外国株式・外国債券・新興国株式・海外REITに投資するもので7種類になります。
下記のページから最新のそれぞれの運用成績を見ることができます。
ソニー生命の変額個人年金と比較
私が加入を検討していたソニー生命の変額個人年金と比較してみます。
色々違いはありますが、重要な違いは下記の2点と考えています。
- 保険の種類の違い。東京海上日動のマーケットリンクは終身型もしくは有期型しかないのに対し、ソニー生命は個人年金型もある
- 運用する投資信託の違い。外国株式に連動する特別勘定が、マーケットリンクはパッシブ運用(インデックス運用)なのに対し、ソニー生命はアクティブ運用
それぞれ見ていきます。
保険の種類の違い
上でも少し記載しましたが、東京海上日動のマーケットリンクは有期型あるいは終身型のみとなっている一方で、ソニー生命は個人年金型もあります。
ある程度の死亡保障をこの保険でまかないたいなら有期型あるいは終身型という選択肢になりますが、基本的には死亡保障等は掛け捨ての保険でカバーするのがオススメです。
そのため、変額保険に保障機能を求めないほうが良いと個人的には考えています。
保障は保障で必要であればしっかりとした掛け捨て保険でカバーしましょう。
そもそも変額保険の最低保証額は掛け金に対してコストパフォーマンスが悪いですし、最低保障じゃない部分は運用成績によって変わってしまうため、万が一の時に受け取れる金額が確定していないというのは保障として機能しづらいのではないかと考えています。
保険の種類の観点からはソニー生命が一歩リードという感じでしょうか。
運用する投資信託の違い
マーケットリンクもソニー生命の変額個人年金も様々な特別勘定から運用先を選ぶことができますが、マーケットリンクはインデックス運用なのに対し、ソニー生命はアクティブ運用となっています。
マーケットリンクの外国株式型の運用方針は以下となっています。
主な投資対象となる投資信託を通じ、主として日本を除く主要先進国の株式に投資を行い、MSCIコクサイ指数(円ヘッジなし・円ベース)の動きに連動する投資成果を目指します。外貨建て資産については、原則として為替ヘッジを行いません。
マーケットリンクの特別勘定レポートより。太字下線は筆者追記。
一方ソニー生命の世界株式型を見てみると、下記のように書かれています。
有力な無形資産(ブランド)を保有する企業に注目し、さらにファンダメンタルズ分析を行うことにより世界各国の株式に分散投資を行い、中長期的にベンチマークを上まわる投資成果の獲得を目指して運用を行います。
ソニー生命変額個人年金資料より。太字下線は筆者追記。
ベンチマークもマーケットリンクはMSCIコクサイ指数なのに対し、ソニー生命の世界株式型はMSCIワールド指数という微妙な違いもありますが、こちらはあまり気にしなくてよいでしょう。(コクサイは日本を除くで、ワールドは日本を含むです。)
ベンチマーク上回ってくれるならアクティブ運用のほうがいいと思うかもしれないですが、中長期で見るとなかなかインデックス運用に勝ち続けるアクティブ運用は難しいと言われています。
とはいえ、ソニー生命の世界株式型は優秀なアクティブファンドであるので、直近のリターンではインデックス運用に負けているものの、設定来ではインデックス運用に勝っているため、甲乙つけがたい状況です。
ソニー生命の変額個人年金 vs インデックス投資は下記の記事に詳細な分析をしています。
また、アクティブ運用とインデックス運用ではかかるコストが変わってきます。
マーケットリンクの外国株式型は信託報酬が0.22%に対して、ソニー生命の外国株式型は0.5496%となっています。(ソニー生命の外国株式型は厳密には投資信託を通じて投資していないので、信託報酬ではなく特別勘定運営費用となっていますが、意味合いとしては信託報酬に近いものです。)
参考資料:
マーケットリンクの特別勘定レポート
https://fl.tmn-anshin.co.jp/product/PDF/503_fundreport.pdfソニー生命の特別勘定
https://www.sonylife.co.jp/examine/lineup/list/pdf/OA38.pdf最終的なリターンの比較
上記の商品の違いを踏まえて、最終的なリターンの比較をしていきます。
パンフレットに記載されている想定リターンの数字が、
マーケットリンクは-2.75%/0%/+2.75%/+5.5%
ソニー生命は-3.5%/0%/+3.5%/7%となっており、
ソニー生命はアクティブ運用をするのでリターンもリスクも高い、マーケットリンクはソニー生命と比較するとリターンもリスクも小さいことを想定しているのがわかります。
経費率の比較
経費率は解約返戻金がどれくらい戻ってくるか擬似的に計算します。
まずはマーケットリンクです。ホームページに記載されている下記の条件のものを抜粋します。
被保険者の性別・契約年齢:男性・30歳、保険期間・保険料払込期間:35年、
基本保険金額:1,000万円、月払保険料:19,130円の場合
払込保険料 の累計額 | 0%の場合の 解約返戻金 | 返戻率 | |
5年 | 1,147,800 | 78万 | 67.96% |
15年 | 3,443,400 | 261万 | 75.80% |
25年 | 5,739,000 | 426万 | 74.23% |
マーケットリンクの場合、おおよそ25%くらいが保障機能や保険会社の報酬に充てられていることがわかります。
次にソニー生命の変額個人年金です。
こちらもパンフレットに記載されている下記の条件のものを抜粋します。
被保険者の年齢35歳、性別:男性、月払い保険料20,550円
(保険料の条件等が違いますが、返戻率で比較するので大まかには大丈夫かと思います。)
払込保険料 の累計額 | 0%の場合の 解約返戻金 | 返戻率 | |
5年 | 1,233,000 | 1,040,000 | 84.35% |
15年 | 3,699,000 | 3,290,000 | 88.94% |
25年 | 6,165,000 | 5,470,000 | 88.73% |
ソニー生命の変額個人年金の場合、おおよそ12%くらいが保証機能や保険会社の報酬に充てられていることがわかります。
ご覧いただければわかるように、返戻率ではソニー生命の変額個人年金が圧倒的に高くなっており、かかる経費が半分程度で済んでいます。
投資という観点では変額個人年金が圧倒的に良いということがわかるかと思います。
騰落率の比較
両者の外国株式型の運用成績について比較していきます。
公開されているデータが少ないので、断片的な比較にはなりますが、年間のリターンです。
マーケットリンク世界株式型 | ソニー生命世界株式型 | |
2018年 | +8.69% | +15.10% |
2019年 | ▲11.77% | ▲2.90% |
2020年 | +40.86% | +26.97% |
3年平均 | +10.54% | +12.37% |
直近3年ではリターンでもソニー生命の世界株式型が勝っています。
ただし2020年単年ではマーケットリンクが勝っています。ソニー生命のアクティブ運用は2020年は不調だったことが伺えます。
まとめ
東京海上日動のマーケットリンクとソニー生命の変額個人年金を比較してきました。
リターンで見ても、コストで見てもどちらもソニー生命の変額個人年金が勝っており、投資という観点から見ると、マーケットリンクを選ぶ理由はなさそうです。
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