ソニー生命の変額個人年金について解説していきます。
私の基本スタンスとして、投資は投資、保険は掛け捨て保険と分けて考えています。
基本的には保険での資産運用は保険会社に抜かれる費用がある分、自分で投資するよりも効率が悪くなるからです。
ただし、保険には生命保険料控除という税金が安くなる制度があり、
これをうまく活用できるように保険を組めば、投資よりも低リスクで高いリターンを出すことができます。
その観点でソニー生命の変額個人年金が投資としてありなのかどうかについて詳しく見ていきます。
結論
高年収の人が、10年間続ける前提ならば、投資として加入することは検討の余地大いにあり。
ただし、月額5000円程度の少額に限る。
月額5000円で10年以上加入する場合は、インデックス投資のリターンを上回ることができる可能性が高いためです。
詳細はこの記事のシミュレーション部分を読んでいただければと思います。
注意しなければいけないのは、この保険は変額個人年金であるため、解約返戻金の最低保証はありません。
このへんは投資信託を買うのと同じですね。
ソニー生命の変額個人年金の特徴
変額個人年金の特徴は下記です。
- 保険と言っているが、8種類の投資信託から自分で選んで投資をする
- (個人年金保険料控除ではなく)一般生命保険料控除の対象
- 解約返戻金の最低保証はなし
- 保険としての機能はほとんどなし
- ソニー生命のライフプランナーと面談する必要がある
かなりややこしい保険商品となっており、自分で投資をやっている人向けの商品かなと思います。
この保険を効率的に活用するためには出口戦略も考えて、加入するべきかを判断する必要があります。
ソニー生命の変額個人年金は、特別勘定運用実績によって、解約返戻金及び将来受け取ることのできる金額が変わります。
特別勘定とは、変額保険と変額個人年金保険にかかる資産を他の保険種類の資産と区分し、独立して管理・運用を行う勘定のことです。
ざっくりいうと、特別勘定運用実績というのはソニー生命の変額個人年金に入れたお金を入れている投資信託の運用実績になります。
詳細は下記のパンフレットをご覧ください。
https://www.sonylife.co.jp/examine/lineup/list/pdf/OA38.pdf
高い年利を生むポイント
保険商品で投資信託を上回る年利を生むためには、
生命保険料控除と一時所得の税金優遇を活用することが重要になります。
生命保険料控除を有効活用するためには、
- 掛け金を月に5000円程度に抑える
- 所得税率が高い状態で入る
の2点が重要です。
そのため、保険商品での資産運用は
比較的高い年収の人が基本的には投資信託などでインデックス運用をメインで行いつつ、資金の一部を入れていくのがおススメです。
シミュレーション
いつも通りIRR関数を使って、年利を見ていきます。
上述の通り特別勘定運用実績によって、解約返戻金が変わるため、-3.5%/0%/3.5%/7.0%の場合を各列で見ています。
加入年数にもよって解約返戻金が変わるため、縦に加入期間を入れています。
月額の掛け金は5000円としています。その他細かい条件によって数字が多少変わってくるかと思うので、
詳細を知りたい方はぜひソニー生命のホームページから問い合わせいただければと思います。
-3.5% | 0% | 3.5% | 7.0% | |
3年間 | -7.5% | -4.3% | -1.5% | 1.4% |
5年間 | -3.3% | -0.1% | 2.9% | 6.1% |
10年間 | -2.2% | 1.0% | 4.2% | 7.4% |
15年間 | -2.6% | 0.7% | 4.0% | 7.2% |
20年間 | -2.8% | 0.5% | 3.8% | 7.1% |
25年間 | -2.9% | 0.4% | 3.8% | 7.1% |
基本的に個人年金保険であるため、早期に解約すると元本割れします。
ただし、10年目以降を見てみると、どのシミュレーションにおいても、特別勘定運用実績より実質年利が高くなっていることがわかります。
これは生命保険料控除分が保険会社に支払うお金よりも大きいため、実際の特別勘定運用実績よりも得られるリターンが大きくなっているためです。
ソニーの変額個人年金保険では、世界株式に投資することが可能です。
そのため、変額個人年金保険の特別勘定運用実績とインデックス投資の世界株式のリターンは同じような数字になる可能性が高いです。
過去5年リターンは、ソニー生命の世界株式コア型が+12%、世界株式型が +15%で、インデックス投資の代表格であるemaxis slimオールカントリーも+12%です。
すなわち、ソニー生命の特別勘定運用実績がマイナスのときは、インデックス投資をしていてもマイナスになる可能性が高いですし、
ソニー生命の特別勘定運用実績が+7%のときは、インデックス投資をしていても+7%になる可能性が高いです。
つまり、ソニー生命の変額個人年金を月額5000円で10年以上続ける前提であれば、
常にインデックス投資を上回るリターンを得られる可能性が高いです。
これは、保険会社に支払う費用よりも生命保険料控除で得られる利益のほうが大きいためです。
しかも、通常の投資信託の場合は利益額に20%の税金がかかります。
対して、保険の解約返戻金は一時所得扱いとなり、
利益の50万円までは非課税となります。
変額個人年金に入れるお金を月5000円程度にして10年後に解約すれば、利益が50万円を超えることはないので、実質非課税で運用できたことになります。
これはつみたてNISAの枠を月5000円増やせているようなものなので、割と強力です。
デメリットは何か?
ソニー生命の変額個人年金のデメリットについても解説します。
- 早期解約だと損する可能性が高い
- 年利を高くしようとすると投資額は少額になる
- 元本保証はない
- 保険機能はほぼない
早期解約だと損する可能性が高い
保険であるため、早期解約だと元本割れする可能性が高いです。
下記の表を見ていただければわかるように、税控除による利益を考慮しても、3年間だと元本割れする可能性が高いです。
-3.5% | 0% | 3.5% | 7.0% | |
3年間 | -7.5% | -4.3% | -1.5% | 1.4% |
5年間 | -3.3% | -0.1% | 2.9% | 6.1% |
10年間 | -2.2% | 1.0% | 4.2% | 7.4% |
15年間 | -2.6% | 0.7% | 4.0% | 7.2% |
20年間 | -2.8% | 0.5% | 3.8% | 7.1% |
25年間 | -2.9% | 0.4% | 3.8% | 7.1% |
特にソニー生命の変額年金は株式に投資しているため、平均的な利率に収束するためにはある程度の期間運用する必要がある可能性も高く、早期解約だと利率がマイナスになる可能性も大いにあります。
その観点からも最低でも10年は運用し続ける必要があるかなと思います。
ちなみに税控除などを考えなかったときに解約返戻金が積み立て金額の累計を上回るのは、
特別勘定運用実績は3.5%の時8年目になります。
(これは普通の年金保険に比べればかなり早いほうです。)
年利を高くしようとすると投資額は少額になる
保険での資産運用で高い利率を生むためには、生命保険料控除を上手に活用する必要があります。
生命保険料控除を上手に活用するには、掛け金を多くすることができません。
生命保険料控除の上限は低い(所得税の枠で年間8万円、住民税の枠で年間5万6千円が上限)ため、月額の掛け金4000円~5000円あたりが効率的に運用できる範囲になります。
掛け金が小さいと、利益率は良くても、利益額は小さいということが起こるので、加入手続き等が面倒という人には向いていないかなと思います。
元本保証はない
この変額個人年金保険は、保険と名前がついていますが、実質は自分で選んだ投資信託を買う商品です。
そのため、通常の投資と同様、元本保証はありません。
間違っても安全に資産を増やしたい人が選ぶ商品ではないです。
保険機能はほぼない
変額個人年金は、死亡保障などを限りなく薄くして、
そのぶん解約返戻金を高くしています。
そのため、保険機能はほぼありません。死亡時は解約返戻金の1.05倍の金額がもらえるだけです。
ちなみに変額個人年金ではなく、変額保険有期型や変額保険終身型という保険機能を高くしたものもあります。
しかし、基本的には保険機能は掛け捨てで担保するのが最も効率的かと思います。
結論
ここまで、ソニー生命の変額個人年金保険について、シミュレーションを交えてながら解説してきました。
まとめると、生命保険料控除をうまく活用できる人かつ月額の投資額が小さい範囲で10年間運用を続ければ、インデックス投資を上回るリターンを期待することができる商品です。
保険としての機能はないため、保険として考えるのではなく、投資商品として考える必要があります。
特に税金優遇効果をフルに活用できるように生命保険料控除だけでなく、出口戦略として、解約返戻金の一時所得の税優遇も頭に入れておく必要があります。
そのため、上級者向けの投資商品と言えるかなと思います。
使いこなすことができれば、インデックス投資を上回るリターンを得ることができる優秀な投資商品と言えるでしょう。
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