普段は投資関連をメインで書いていますが、今回と次回は副業やマイクロ法人の節税効果について書いていきたいと思います。
FIREを目指す上で、節税は必須と言っても過言ではないと思います。
なぜならば、収入の20%~30%は税金・社会保険料で徴収されており、非常に金額として大きいからです。
税金・社会保険料を減らすことで投資に回すお金を増やすことがFIREへの近道です。
そのあたりに興味がある人はぜひ見ていってください。
結論
手取り収入を増やしたいなら、本業での給料アップを狙うよりも、副業で稼ぐほうが効率が良い。
本業の給料だけで稼ぐ場合と、本業+副業で稼ぐ場合で、同じ額面収入であっても、手取りの金額が20万円〜30万円違う場合もある。(本業+副業で稼ぐほうが効率が良い)
ただし、マイクロ法人はそこまで大きな節税効果があるわけではないため、無理に法人化する必要はない。
理論上一番節税効果が高い(額面収入に対して手取り収入の割合が高い)のは、
・週20時間は雇われで給与をもらって働きつつ、
・残りの時間を個人事業に充てて稼ぐ
というスタイルです。
マイクロ法人については別の記事で詳細を書く予定のため、今回は副業の節税効果について書いていきます。
シミュレーション
本業+副業で稼ぐ場合と本業だけで稼ぐ場合でどれくらい手取りの金額に差が生まれるのかシミュレーションしてみました。
社会保険料はざっくりと計算しており、各種控除は考慮していないものが多いため、目安の金額にはなりますが、概ね金額感としてはあっているのでシミュレーションとしては問題ないかと思います。
今回は年間で500万円を稼ぐ場合のシミュレーションをしていますが、稼ぐ金額が多くなっても構造は変わりません。
(むしろ稼ぐ金額大きくなる方がより、本業と副業で分散させたほうが手取りが多くなります。)
本業 | 副業 | 手取り |
5,000,000 | 0 | 3,973,900 |
4,000,000 | 1,000,000 | 4,168,520 |
3,000,000 | 2,000,000 | 4,237,020 |
2,000,000 | 3,000,000 | 4,289,580 |
1,000,000 | 4,000,000 | 4,376,140 |
これを見ると、本業だけで500万円稼ぐ場合と本業400万円+副業で100万円の計500万円稼ぐ場合で、手取りに20万円ほどの差が生まれていることがわかります。
その後も、副業で稼ぐ金額を増やせば増やすほど、手取りの金額が増えていることがわかります。ただし、増え方は最初の本業500万→本業400万+副業100万が一番大きいです。
つまり、副業をまだしてない人は、副業を開始することが収入を増やす観点でも、節税の観点でも最もお得なので、今すぐ副業を始める準備を開始しましょう。
何故上記のように副業で稼ぐ金額を増やすほうが手取りが増えるのか、そのカラクリについて見ていきます。
副業は何故節税になるのか?
副業での収入を増やすことによって手取りが増える理由は大きく2つです。
①青色申告特別控除が使えるから
②社会保険料が減らせるから
それぞれ見ていきます。
①青色申告特別控除が使えるから
1つ目の理由は青色申告特別控除が使えるからです。
青色申告特別控除とは、個人事業主が青色申告をすることによって得られる特典で、最大で65万円の所得控除を得ることができます。
副業を開始した場合、自分で確定申告をする必要があります。
サラリーマンの場合は会社が代わりにやってくれるので、年末調整だけで済みますが、個人事業主として副業をやる場合代わりにやってくれる人はいないので自分でやる必要があります。
その際に、複式簿記を使ってちゃんと申告(青色申告と呼ばれる)をすると、特典を得ることができて、その特典の一つが最大65万円の所得控除です。
所得税や住民税は下記の式で計算されます。
(収入 – 経費 – 所得控除)×所得税率,住民税率
つまり所得控除を増やすと、所得税や住民税を減らす事ができます。所得税は所得により異なりますが10%もしくは20%、住民税は一律10%なので、
65万円の所得控除が得られると、13万円〜19万円ほどの税金を減らして、手取りを増やすことができます。
(65万円×10%~20% + 65万円×10%)
ただし、青色申告特別控除が認められるためには、ちゃんと開業届を出して、「事業」としてやっている必要があります。
暇なときにちょろっとやって稼ぐ程度の副業では事業として認められない可能性が高いため、青色申告特別控除は使えないことになります。
明確な線引があるわけではないですが、「継続・反復的に」「対価を得て」営んでいる必要があります。
青色申告特別控除については下記のページに詳細がありますので興味があればご確認ください。
②社会保険料が減らせるから
2つ目の理由は、社会保険料を減らせるからです。
社会保険料はサラリーマンとして稼いでいる本業の収入によって決まります。
つまり、本業の収入が多いほど社会保険料は高くなります。そのため、同じ500万円を稼ぐ場合でも、本業だけで500万を稼ぐ場合と本業で400万+副業で100万稼ぐ場合は、前者のほうが社会保険料は高くなります。
社会保険料は主に厚生年金保険料と健康保険料の2つです。
健康保険料に加入しているため、病院に行ったときに3割負担で済んでいます。この健康保険料はいくら支払っていようが、サービスの内容は変わりません。
(健康保険料を多く払っているから、3割負担じゃなく2割負担になる等の特典はない)
そのため、健康保険料はできるだけ安く抑えるほうが得です。
一方で厚生年金保険料は、支払った金額に応じて将来もらえる年金の額が変わります。
つまり、厚生年金保険料を減らすと将来もらえる年金の額は減ります。
そうすると、「目先の手取りを増やすために将来もらえる年金の額を減らすことが本当にお得なのか?」という疑問が湧いてきます。
それに対する回答は、「厚生年金保険料を減らして手取りを増やすことは得」です。
なぜならば、厚生年金は利率がかなり悪いです。
細かい計算はややこしいので省きますが、65歳から80歳まで15年間厚生年金をもらったとして、ようやく自分の支払った分の金額分の年金を受け取れるくらいの計算になります。(つまり増えていないので、利率は0%)
全米株式に投資していれば年利5%で増やすことができるのを考えると、年金を受け取れる65歳までの30年以上を年利0%で預けておくというのはいかに効率が悪いかがわかると思います。
具体的に金額ベースで話すと、年収500万円の場合、支払う厚生年金保険料は月額約38,000円です。
35年間支払い続けた場合、年利0%の場合は単純に38,000×12ヶ月×35年=1600万円ほどです。この1600万円が年金原資になります。
一方で仮に38,000円を厚生年金として支払わずに、自分で運用していたとします。
年利5%で運用できたとすると、毎月38,000円を35年続けていたとすると、4317万円になります。
厚生年金に投資するのと、自分で投資をするので約2700万円もの差が生まれています。
年利5%というのは株式に投資していれば現実的な数字です。つまり、厚生年金に「投資」をすることがいかに効率が悪いかがわかると思います。
さらに言えば、今後もらえる年金の額は減ることが濃厚だと思います。ここからさらに減るので年利0%どころか、マイナスになることも十分にあり得ると思います。
そのため、厚生年金に入れる金額はできるだけ減らしたほうがお得と言えると思います。
ただし、厚生年金に投資した金額も0になるわけではないので、厚生年金に投資した金額の現在価値を計算してそれも考慮してお得なのかを検証します。
本業 | 副業 | 手取り | 厚生年金への投資額 | 厚生年金現在価値 | 手取り+厚生年金現在価値 |
5,000,000 | 0 | 3,973,900 | 457,500 | 82,940 | 4,056,840 |
4,000,000 | 1,000,000 | 4,168,520 | 366,000 | 66,352 | 4,234,872 |
3,000,000 | 2,000,000 | 4,237,020 | 274,500 | 49,764 | 4,286,784 |
2,000,000 | 3,000,000 | 4,289,580 | 183,000 | 33,176 | 4,322,756 |
1,000,000 | 4,000,000 | 4,376,140 | 91,500 | 16,588 | 4,392,728 |
厚生年金の現在価値を考慮しても、やはり副業の金額を増やすのがお得です。
(現在価値は年利5%で35年の場合で計算しています)
まとめ
副業を始めることで、収入を増やすだけでなく、節税効果も高いということについて書いてきました。
節税効果は主に青色申告特別控除と社会保険料の削減によって実現されます。
青色申告は軽い副業ではなく、がっつり事業として副業に取り組む必要があるためハードルは高いですが、年間で13万円〜19万円の節税効果があるため、かなりお得です。
社会保険料を減らすことは、将来もらえる年金を減らすことは将来もらえる厚生年金が減ることを意味しますが、
厚生年金は利率が悪いため、自分で運用したほうが遥かにお得であり、社会保険料を減らしてでも手取りを増やしてそれを自分で投資したほうが効率が良いです。
そのため、社会保険料を減らすためできるだけ本業と副業で収入を分散したほうがお得です。
ただし本記事は理論上の計算で、実際は本業と副業で収入を都合よく分散させるのは難しいと思います。
そのため、まずは収入を分散させるということではなく、
副業を始めていなければまずは副業を始める、
副業を既にやっている人はできるだけ副業の収入を伸ばすということを意識すると、
自然と節税効果も高くなっていくかなと思います。
税金を減らして、手取りを増やし、それを投資に回して、FIREを実現する。
私も引き続き頑張っていきたいと思います。
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