投資の世界では基本的にリターンとリスクは比例すると言われています。
高いリターンを実現するには、それなりのリスクを取る必要があります。
リターンをリスクで割ったものをシャープレシオと言いますが、シャープレシオは基本的に同じようなレンジに収束するということです。
その中で、レバレッジ・バランスファンドはうまく活用すれば、通常の投資信託を買うよりも低いリスクで高いリターンを実現することができる可能性があります。
この記事ではレバレッジ・バランスファンドの魅力とどういうファンドがあるのかを解説していきます。
結論
レバレッジ・バランスファンドは、リスクパリティー戦略に沿った投資となっているため、通常のファンドを購入するのと比べて、高いリターンを低いリスクで実現できる可能性がある。
基本的には楽天・米国レバレッジバランス・ファンド（通称：USA360）がオススメ。ただし、ゴールドが組み入れられていないため、ゴールドについては別途違うファンドを買う必要あり。
別途でゴールドを買うのが面倒という人は、グローバル5.5倍バランスファンドがオススメ。
レバレッジ・バランスファンドの魅力
レバレッジ・バランスファンドの魅力は一言でいうと、リスクパリティー戦略を実現できることだと思います。
リスクパリティー戦略とは、債券などの安全性が高い資産にレバレッジを掛けることで、リスク以上のリターンを得ることです。
著名な投資家であるレイ・ダリオによれば、比較的安全性の高い資産は、そのリスク見合い以上にリターンを生む傾向があります。
実際債券と株のシャープレシオを比較すると、債券のシャープレシオのほうが高いことがわかります。
（株式の標準偏差は2%に対して、長期債は1%以下。一方平均リターンは株式が11.4%に対し、長期債は7.1%なので、シャープレシオは債券が高い。）
そのため、安全性が高い資産にレバレッジをかけることで、高いリターンを低いリスクで実現できる可能性が高いです。
これを実践することができるのが、レバレッジ・バランスファンドです。
レバレッジ・バランスファンドの種類
メジャーなレバレッジ・バランスファンドには下記3つがあります。
- グローバル3倍3分法ファンド
- グローバル5.5倍バランスファンド
- 楽天・米国レバレッジバランス・ファンド（通称：USA360）
それぞれ見ていきます。
グローバル3倍3分法ファンド
グローバル3倍3分法ファンドはレバレッジ・バランスファンドの先駆けで、2018年10月に設定された、日本のファンドでは最も古いレバレッジ・バランスファンドです。
グローバル3倍3分法ファンドは開始当初多くの投資家が投資をして、2019年のファンドオブザイヤーで7位にランクインする等大きく話題となりました。
中身としては、株60%、REIT40%、債券200%の合計300%となる（つまりレバレッジは3倍）ように運用するファンドです。
良い点
私が思うこのファンドの良い点は、下記の2点です。
①信託報酬が0.484%と安いこと
②償還期限が無期限であること
悪い点
私が思うこのファンドの悪い点は、下記の3点です。
①各アセット内での分散投資の割合が等分保有となっている。
株60%の内訳は日本株20%、先進国株式20%、新興国株式20%の等分保有
債券200%の内訳は日本国債、米国国債、ドイツ国債、イギリス国債、オーストラリア国債それぞれ40%の等分保有
REIT40%の内訳は、日本REIT20%、海外先進国REIT20%の等分保有となっています。
正直この等分保有で持つというのは雑すぎるように思います。
例えば株でいえば、米国が市場全体の60%を占めているのですが、このファンドでの米国の保有割合は20％強になるかと思います。（日本、新興国、先進国でそれぞれ33%ずつ、先進国のうち70%が米国のため）
イメージとしては、新興国の成長と日本の成長を強く信じれるならこういう割合になるという感じかと思います。
②REITの保有割合が大きいこと
REITは分散投資には不要と個人的には考えています。詳細は下記の記事を御覧ください。
REITを入れる考えも理解はできるので、REITを入れること自体は否定しません。
しかし、グローバル3倍3分法ファンドは10%以上REITを組み入れているのでこれはちょっと多いんじゃないかなと思っています。
③ゴールドを保有していないこと
ゴールドは、各アセットと異なる価格の動きをするため、分散投資において非常に重要な役割を果たします。
しかし、グローバル3倍3分法ファンドはゴールドを組み入れていません。
ただし、足りないものは自分で別途買って自分のポートフォリオに組み入れれば良いので、致命的な欠点ではありません。
グローバル5.5倍バランスファンド
グローバル5.5倍バランスファンド2020年2月に設定された新しいレバレッジ・バランスファンドです。
グローバル3倍3分法ファンドが多くの資金を集めたので、それを改良したものとなっています。
中身としては、株100%、REIT25%、債券400%、金25%の合計550%となる（つまりレバレッジは5.5倍）ように運用するファンドです。
良い点
私が思うこのファンドの良い点は、下記の3点です。
①レバレッジが5.5倍効いていること
グローバル3倍3分法ファンドや楽天・米国レバレッジバランス・ファンドと比べてレバレッジが多く効いており、資金効率が良いです。
個人的には好感が持てる点です。
②株式の保有比率が時価総額と概ね同じ割合で保有していること
米国株60%強、先進国株15%弱、新興国株10%強とほぼ全世界株式の時価総額とおおよそ同じ割合で持っており、効率的となっています。
③ゴールドを組み入れていること
分散投資において重要な役割を果たす、ゴールドを投資に組み入れています。
個人的にはもう少しゴールドの割合が高くても良いかなと思いますが、グローバル3倍3分法ファンドや楽天・米国レバレッジバランス・ファンドはゴールドの組入がないので、このファンドの良い点として挙げられるかと思います。
悪い点
私が思うこのファンドの悪い点は、下記の2点です。
①償還期限が決まっていること
現状償還日は2029.12.21となっています。
償還日がくればその時点で強制的に現金化されるため、長期投資を前提とするのであれば、償還日は決まっていないほうが良いです。
ただし、償還日は今後延長されたり、無期限になる可能性もあります。
②信託報酬が高いこと
信託報酬は1.089%と高めの設定となっています。
複雑な運用をしているので一定仕方ない側面もありますが、グローバル3倍3分法ファンドや楽天・米国レバレッジバランス・ファンドと比べると2倍となっており、ちょっと高いかなと思います。
楽天・米国レバレッジバランス・ファンド（通称：USA360）
楽天・米国レバレッジバランス・ファンド（通称：USA360）は2019年11月に設定されたレバレッジ・バランスファンドです。
グローバル3倍3分法ファンドとグローバル5.5倍バランスファンドが日興アセットマネジメントが運用しているのに対し、こちらは楽天投信投資顧問が運用しています。
中身としては、株90%、債券270%の合計360%となる（つまりレバレッジは3.6倍）ように運用するファンドです。
良い点
私が思うこのファンドの良い点は、下記の2点です。
①シンプルで余計なものが入っていない
個人的にはREITは分散投資に要らないと思っていますし、債券部分も米国債券以外は持たなくて良いと思っています。
株式も全世界の時価総額加重平均にするか、米国1本で良いと思っています。
そのようなニーズにドンピシャにあたっているのがこのファンドで、
シンプルに米国株と米国債券のみの運用となっています。
債券部分に27倍のレバレッジを掛けており、リスクパリティ戦略としても上々です。
株式部分もVTIという超人気のETFを使っており、非常に良いです。
②信託報酬が安い
信託報酬は0.4945%となっています。
もちろんVTIだけに投資するよりは高くなりますが、レバレッジ・バランスファンドとしては安い水準を維持していると思います。
③償還期限が無期限であること
償還期限は無期限となっており、純資産額も大きいため、途中で償還されることはほぼないでしょう。
そのため長期投資にも向いているファンドであると思います。
悪い点
私が思うこのファンドの良い点は、下記の1点です。
①ゴールドを保有していないこと
ゴールドは、各アセットと異なる価格の動きをするため、分散投資において非常に重要な役割を果たします。
しかし、楽天・米国レバレッジバランス・ファンドはゴールドを組み入れていません。
ただし、足りないものは自分で別途買って自分のポートフォリオに組み入れれば良いので、致命的な欠点ではありません。
まとめ
レバレッジ・バランスファンドについてその魅力とそれぞれの特徴を解説してきました。
レバレッジ・バランスファンドはリスクパリティ戦略を実現する上で強力なツールとなっており、有効活用できれば安定的に資金を増やす近道となると思います。
その中でも、個人的には特に楽天・米国レバレッジバランス・ファンド（通称：USA360）がお気に入りです。
米国債券にレバレッジを効かせて、米国株式と米国債券を1:3で運用するシンプルな戦略は超優秀な戦略であると思います。
レバレッジも3.6倍効いており、資金効率も良いです。
欠点としては、ゴールドが入っていないことですが、ゴールドについては別途信託報酬が安いファンドもあるのでそちらを買うことで補完するのが良いともいます。
USA360とゴールドを組み合わせたレバレッジ型黄金ポートフォリオについても記事を書いておりますので、ぜひご覧いただければと思います。
他のファンドに投資するのが面倒だと言う人はグローバル5.5倍バランスファンドも良いかと思います。
こちらはファンド自体にゴールドも組み入れられており、このファンド単独で分散投資効果が期待できます。
ただし、ゴールドの組入比率が小さかったり、信託報酬が高かったりするので、多少面倒でも自分で組み合わせるのが良いのではと思います。
グローバル3倍3分法ファンドはレバレッジ・バランスファンドという道を切り開いた先駆けとしては良いものだとは思いますが、正直他2つと比べるとイマイチかなと思っています。
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