前回の記事で初心者には分散投資は不要という記事を書いたのですが、投資金額や投資方法によっては分散投資をしたほうが良いケースもあるため、今回は分散投資をする際に考慮するべきことというテーマで書いていきます。
初心者には分散投資は不要については下記の記事をご覧ください。
分散投資をしたほうが良い人
個人的に分散投資をしたほうが良いと考えるのは下記に当てはまる人です。
- 積立NISAやiDeCoを満額実施しており、さらに投資資金に余裕がある人
- その余裕資金でレバレッジ投資信託などリスクが高い商品を多く買っている人
積立NISAやiDeCoを満額やっていない人は、分散投資の前にまずはそちらでインデックス投資を全額やることをおすすめします。
積立NISAもiDeCoも非常に大きな税制優遇があるので、分散投資にお金を割く前にまずは全額S&Pなどでいいので、そちらを優先しましょう。
iDeCoとNISAについては下記の記事でまとめておりますので、そのお得さを詳しく知らない人は是非一度ご覧いただければと思います。
また、積立NISAやiDeCoを満額やった後の余剰資金で、通常のインデックス投資(S&P500や全世界株)を増額するであれば、分散投資はやる必要ないかなと個人的には考えています。
長期投資前提にたてば、株式100%であったとしてもインデックス投資である限りリスクはそこまで大きくないと考えているためです。
一方で、レバレッジ投資信託で攻めた投資を中心にしている人は、リスクヘッジとして分散投資を考慮するのも良いかなと思います。
分散投資をする際に考慮するべきこと
分散投資をする目的は
- リターンの最大化
- リスクの最小化
の2つです。
そこで重要になってくるのが各アセットの相関係数と各アセットの期待リターンになります。
各アセットの相関係数
分散投資をする際に重要なのは各アセットの相関係数です。同じような動きをする複数のアセットに投資をしても、分散投資とはなりません。
下記にemaxisシリーズの相関係数がまとめられています。
国内 株式 | 国内 債券 | 国内 リート | 全世界 株式 | 先進国 株式 | 先進国 債券 | 新興国 株式 | 新興国 債券 | 新興国 リート | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
国内 株式 | – | ||||||||
国内 債券 | -0.185 | – | |||||||
国内 リート | 0.554 | 0.342 | – | ||||||
全世界 株式 | 0.639 | -0.203 | 0.331 | – | |||||
先進国 株式 | 0.644 | -0.203 | 0.327 | 0.997 | – | ||||
先進国 債券 | 0.537 | -0.155 | 0.246 | 0.743 | 0.746 | – | |||
先進国 リート | 0.492 | 0.002 | 0.326 | 0.794 | 0.789 | 0.644 | – | ||
新興国 株式 | 0.535 | -0.174 | 0.315 | 0.890 | 0.852 | 0.625 | 0.717 | – | |
新興国 債券 | 0.556 | -0.143 | 0.338 | 0.791 | 0.761 | 0.779 | 0.764 | 0.867 | – |
新興国 リート | 0.587 | -0.055 | 0.434 | 0.669 | 0.641 | 0.583 | 0.746 | 0.742 | 0.859 |
パッと見で相関係数が0.7を超えていて強い相関があるアセットが多いことがわかります。一方で国内債券は各アセットと相関係数が小さく分散投資に向いていそうに見えます。
しかし、相関係数ばかり見て国内債券を分散投資の対象とするのはおすすめしません。
なぜならば国内債券はほとんどリターンが見込めないためです。分散投資自体はリターンとリスクのバランスを最大化することが目的であるため、いくら相関係数が小さくても全く成長が見込めない国内債券に投資はしないほうがよいです。
さらに、上記の相関係数のデータは正しいのですが、よくよく考えると、成長の大きさに違いはあれど、基本的にどのアセットも右肩上がりに成長しているので相関係数は高くなるのが当然です。
そのため、独自に月ごとの増減額の相関係数を計算しました。
大きな流れでみるとどのアセットも右肩上がりなので相関係数は高くなりますが、月ごとの増減額はアセット間の違いが出るので、よりクリアに関係を見ることができます。
また分散投資をするメリットとして、リバランスして資産を増やすことができる点があります。リバランスは高くなっている資産の一部を利確して、安くなっている資産を買い増すことです。
月単位の増減に相関がなければリバランスによる資産増加が狙いやすくなります。
月単位での増減の相関係数が下記になります。(2004年〜2021年で計算しています。)
NASDAQ | S&P500 | 全世界株 | 米国債券 | ゴールド | 米国REIT | 新興国株 | |
NASDAQ | – | ||||||
S&P500 | 0.90 | – | |||||
全世界株 | 0.80 | 0.92 | – | ||||
米国債券 | 0.04 | 0.01 | 0.08 | – | |||
ゴールド | 0.10 | 0.07 | 0.12 | 0.36 | – | ||
米国REIT | 0.48 | 0.65 | 0.64 | 0.28 | 0.12 | – | |
新興国株 | 0.51 | 0.64 | 0.77 | 0.08 | 0.28 | 0.53 | – |
まず、NASDAQ,S&P500,全世界株の相関は非常に高いです。これはS&P500の構成銘柄の上位はNASDAQ100の構成銘柄と被っているためです。また、全世界株式のうち7割弱は米国株式であるため、ここも同じ構成銘柄になっています。
そのため、NASDAQ,S&P,全世界株式は同じような動きをするため、これらの3つでは分散はほぼ効きません。
S&PとREITも0.6を超える相関係数があります。REITと株もあまり分散が効きません。アメリカが好調なときは株もREITも上がり、アメリカが不調なときは株もREITも下がる関係にあるということです。
また新興国とS&Pも0.6を超える相関係数になっています。やや違和感がある結果ではあるのですが、株式市場にお金が流れ込むときは新興国も先進国も関係なく上がるということかなと思います。
多くの人は米国株式をメインとしていると思いますので、ゴールドと米国債券が分散投資の対象となるかと思います。
私が分散投資の対象として買っているファンド
元々私は分散投資不要と考えていたのですが、最近少し投資額を増やすことができたのと、レバレッジNASDAQに入れる割合を増やしたので、リスクヘッジとして少額の分散投資をしています。
上記の相関係数表から、米国債券とゴールドが分散投資の対象となります。それぞれNASDAQ100との相関係数は0.04と0.10と非常に低く、NASDAQ100の動きと別で動く事がわかります。
どちらか片方でもいいかなと思っていたのですが、米国債券とゴールドの相関係数も0.36と高くないため、両方を分散投資の対象としています。
ただし、債券はリターンもリスクも非常に小さいアセットとなっています。そのため、債券に少額を投資してもNASDAQ100の動きが大きすぎて大した分散効果が期待できません。
そこで債券はレバレッジ投資信託を購入しています。具体的には債券に27倍レバレッジをかけているUSA360を債券への投資として採用しています。
ゴールドについては、信託報酬が安く償還期限がないSMTゴールドインデックスオープンを買っています。ゴールドの投資信託はどこでもいいかなと思っているのですが、償還期限が決まっているファンドが多いので注意です。
償還期限が決まっているファンドは、長期投資には不向きかなと考えています。
まとめ
分散投資についてまとめてきました。分散投資自体は全員がやる必要はないものだと考えています。少なくともつみたてNISAやiDeCoに満額を入れていない人は先にそちらで安定したインデックス投資をやるべきと考えています。
一方で、レバレッジ投資信託中心でも分散投資は必要なのだろうかというのは私自身まだ半信半疑です。
レバナスを中心においているので分散投資が必要かなと一応現時点では思っているのですが、レバレッジNASDAQに全力でいくほうが結局良いんじゃないかと思う気持ちもあります。
私自身分散投資について研究し始めたのが最近ということもあり、今後スタンスが変わっていく可能性もありますが、現時点ではこの記事で書いたようなスタンスです。
また色々データを見たり、実際に投資していく中で気づいたことがあれば記事を書いていきたいと思います。
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