レバレッジ投資信託について解説していこうと思います。
レバレッジ投資信託は少ない元手で大きなリターンを得る可能性があり、一般人がFIREを目指すうえで、心強い味方になってくれる存在だと考えています。
一方でレバレッジを利かせていることによるデメリットも存在します。そのため、きちんとメリット・デメリットを知ったうえで、自分が納得できる範囲で活用していくことが重要だと思います。
私はレバレッジ投資信託が好きなので、毎月の積立の30%~50%はレバレッジ投資信託に入れています。
レバレッジ投資信託とは
インデックス投資信託は特定のインデックスに連動した価格を目指す投資信託なのに対して、レバレッジ投資信託は特定のインデックスの日々の値動きの2倍や3倍を目指して運用する投資信託になります。
例えば、emaxis slim S&P500はS&P500という指数と一致することを目指している投資信託で、ifreeレバレッジS&PはS&P500という指数の日々の値動きの2倍を目指している投資信託です。
詳しくは下記で書きますが、ザックリ言えば通常の投資信託と比べて、資金効率が良い投資になります。ただしデメリットも多くありますので、注意が必要です。
私はある程度のレバレッジをかけていくのが効率的に資金を増やす術であると信じているので、レバレッジ投資信託推奨派ですが、
レバレッジ投資信託はダメだとおっしゃっている人も多くいるので、両方の意見をきちんと聞いて、自分が納得できる決断を下すことが大事だと思います。
レバレッジ投資信託にも大きく分けて3種類あります。
・ブル型
・ベア型
・バランス
一般的にレバレッジ投資信託というとブル型を指すことが多いかと思います。ブル型は上で書いた「日々の値動きの2倍や3倍を目指して運用する」ものです。
ベア型は、インバース型とも呼ばれ、「日々の値動きの逆の動き」を目指すものです。つまり特定のインデックスが下がったときに利益が出るものになります。
ただし、株価は基本的には右肩上がりなので、長期の積立には不向きな商品です。
バランス型は少し毛色が違うもので、バランスファンドは債券やREITなどの株以外の商品を組み入れるので、株だけで運用している投資信託と比べるとリスクもリターンもマイルドになることが多いです。
そこでレバレッジを利かせて、株に近いもしくは株以上のリターンを出そうというのがレバレッジ型バランスファンドです。このあたりはまた別の記事で書こうと思います。
そのため、この記事でレバレッジ投資信託というのはブル型のことを指します。
レバレッジ投資信託(ブル型)もどの指数に連動するかでいくつか種類がありますが、一番人気なのはNASDAQ100の2倍を目指すiFreeレバレッジNASDAQ100かと思います。
ちなみに、レバレッジ投資信託では、FXのような追証はありません。なので、最悪の事態が起こったとしても投資したお金が0円になるだけです。
レバレッジ投資信託のメリット
レバレッジ投資信託のメリットは、資金効率が良いことです。
具体的な数字で見ると、S&P500が前日比で+5%になったとします。前日にS&P500に1万円を入れていれば、10500円になります。(利益額+500円/増加率+5%)
レバレッジS&P500は2倍の値動きを目指すので、この時前日比で+10%になります。そのため、もしレバレッジS&P500に1万円を入れていれば、11,000円になります。(利益額+1000円/増加率+10%)
レバレッジをかけない通常のS&P500で利益額1,000円を出そうとすると元手を2万円いれておく必要があります。(2万円を入れていれば、2万円の+5%で21,000円になり、利益額が+1000円)
つまり、同じ利益+1000円を得るにしても、元手として入れるお金が半分で済んでいるので、資金効率が良いというのがレバレッジ投資信託の特徴です。
同じことを言い方を変えると、1万円分の投資で、2万円を投資したのと同じだけの利益を得られているということになります。
ただし、上がる時はいいですが、下がる時も当然2倍下がるので、損失の額も大きくなります。
長期的に見れば株価は右肩上がりになるので、ある程度のレバレッジをかけていくのが効率的に資金を増やす術であると考えています。
このあたりは実際の数字を使ったシミュレーションで示していきます。(ただし長くなるので別記事で書きます。)
レバレッジ投資信託のデメリット
レバレッジ投資信託のデメリットは大きく3つあります。
- 下落時の落ち幅が半端じゃないこと
- 横ばいの相場が続くと減価すること
- 信託報酬が高いこと
順番に見ていきます。
下落時の落ち幅が半端じゃないこと
上で書いたメリットの裏返しではありますが、下落時は物凄い暴落を見せます。
具体的なシミュレーションは別記事で書きますが、直近の大暴落であるコロナショックがあった2020年2月~3月あたりの数字を持ってきます。
もし2月20日(コロナショック前の最高値)に10万円をNASDAQ100とレバレッジNASDAQ100に入れていたとします。
この時、コロナショックの底値である3月22日時点で、
NASDAQ100は約31%減少します。含み損が31,000円くらいになるイメージです。これでもかなりの暴落ですが、
レバレッジNASDAQ100はなんと約50%減少します。投資した金額の半分が約1か月で無くなるということですね。
この後驚異のV字回復を見せたので、レバレッジNASDAQ100に投資をしていても事なきを得たのですが、50%まで減ったタイミングで損切り(狼狽売り)をしてしまった場合、目も当てられません。
レバレッジ投資信託はそれだけ値動きが激しいので下がる時はめちゃくちゃ下がるので覚悟が必要です。
横ばいの相場が続くと減価すること
下がる時は大ダメージをくらうのに加えて、横ばいでもレバレッジ投資信託はダメージを食らいます。
横ばいというのは、+5%→▲5%→+5%→▲5%のように上がったり下がったりを繰り返しているときです。
通常のNASDAQ100とレバレッジNASDAQ100にそれぞれ1万円投資した後、+5%→▲5%→+5%→▲5%という相場が来たとしましょう。その時の値動きは下記になります。
その日の増減 | 通常 | レバレッジ | |
元本 | 10,000 | 10,000 | |
1日後 | +5% | 10,500 | 11,000 |
2日後 | ▲5% | 9,975 | 9,900 |
3日後 | +5% | 10,474 | 10,890 |
4日後 | ▲5% | 9,950 | 9,801 |
最終 | ▲0.5% | ▲2.0% |
通常のNASDAQ100が▲0.5%の減少幅で済んでいるところが、レバレッジNASDAQ100ではその4倍の▲2.0%まで下がってしまっています。
直感的には2倍の▲1.0%になると思ってしまいそうですが、実際に計算すると▲2.0%と減少幅は大きくなっています。これが減価になります。
これは日々の値動きの2倍の動きをするため、指数からどんどん乖離していくために発生します。
ただし、シミュレーションしたところ実際はこのように同じような上昇と下降を繰り返すような相場はあまり起こっていないため、気にするほどではないと個人的には考えています。
詳しくはシミュレーションの記事で書きたいと思います。
信託報酬が高いこと
レバレッジ投資信託は通常の投資信託と比べて信託報酬が高いです。
具体的には、iFree NASDAQ100は0.495%に対して、iFreeレバレッジNASDAQ100は0.99%と2倍、iFree S&P500は0.2475%に対して、iFreeレバレッジS&Pは0.99%と3倍以上となっています。
S&P500はemaxis slim S&P500だと0.0968%ですので、10倍と言ったほうがいいかもしれません。
これはレバレッジ投資信託は純粋なインデックスファンドではなく、アクティブファンドの側面も持っているため、運用コストがかかるからです。
また、iFreeシリーズのレバレッジ投資信託は為替ヘッジありになっていますので、為替ヘッジコストもかかってきているのもあると思います。
(為替ヘッジはレバレッジ投資信託は値動きが激しいので、為替変動分はせめて無くそうという意図でつけられているのだと思いますが、正直為替ヘッジなしでいいからもうちょっと信託報酬安くしてほしいと個人的には思います。)
結論
資産形成の強力なツールであるレバレッジ投資信託について解説してきました。
冒頭でも書きましたが、私はレバレッジ投資信託は大いにありな選択肢だと思っていますし、実際に投資もしています。
ただし、デメリットも大きい投資信託なので、万人に勧められるかと言われると、そうではないと思いますし、推奨派の意見も非推奨派の意見もきちんと聞いたうえで購入するかを決めるのが良いかなと思います。
もしくは少額で実際に体感してみるというのもいいかもしれません。
今回はレバレッジ投資信託の一般論の話でしたが、実際の数字シミュレーションもしておりますので、別記事で詳しく書いていきたいと思います。
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