iDeCoとNISAの違いについてご存じでしょうか?
両方とも国が推進しており、とてもお得な制度となっていますが、異なっている点も大きくあります。
実はiDeCoよりもNISAを始めたほうがお得な人もいますし、逆にNISAを始めたほうがお得な人もいます。
この記事では、iDeCoとNISAの違いはもちろん、どういう人にはiDeCoがおすすめで、どういう人にはNISAがおすすめなのかについて解説していきます。
長くなってしまうため、この記事ではiDeCoとは何かについて解説します。
既につみたてNISAとiDeCoの概要については知っていて、どちらがお得なのかの比較が見たいという方は、下記の記事をご覧ください。
【必見】iDeCoとつみたてNISAの違いと比較【どちらがお得か】
また、つみたてNISAについての概要は下記の記事をご覧ください。
iDeCoとは何か
iDeCoとは個人型確定拠出年金の略称です。
名称からわかるように、「年金」になります。
老後2000万問題が1年ほど前に話題になりましたが、国からもらえる年金は今後減っていく見込みです。そのため、「各自で頑張って年金を積み立てしてね」という制度です。
iDeCoの公式サイトは下記になります。
年金であるため、60歳まで引き出すことができません。
ただし、60歳まで引き出せないデメリットを差し引いても余りある多大なメリットが2つあります。
- iDeCoにお金を入れるときの節税効果
- 60歳になってお金を受け取るときの節税効果
iDeCoのメリット①:iDeCoにお金を入れるときの節税効果
iDeCoのお得なポイントの一つ目は、掛金全額が所得控除の対象となり、大きな節税効果が生まれることです。
詳しい計算は別の記事で解説しますが、節税効果によって、おおよそiDeCoに入れたお金×15%~30%の金額が年末調整でキャッシュバックされます。
15%~30%と幅があるのは、あなたの所得税率によってキャッシュバックされる金額が変わるためです。
計算としてはiDeCoに入れたお金×(所得税率+住民税率)が戻ってくるお金になります。住民税率は年収に関わらず10%ですが、所得税率は年収によって異なります。
ざっくりの目安を下記の表にまとめました。
年収 | キャッシュバック率 | 所得税率 | 住民税率 |
450万円以下 | 15% | 5% | 10% |
450万円~650万円 | 20% | 10% | 10% |
650万円~1100万円 | 30% | 20% | 10% |
1100万円~1300万円 | 33% | 23% | 10% |
つまり、年収500万円の人が年間10万円をiDeCoに入れた場合、年末調整で2万円返ってくる計算になります。
iDeCoにお金を入れるというのは、実際に自分のお金が減っているわけではなくて、貯金用の口座にお金を移しているだけのイメージです。
違う口座にお金を移しただけでその移した分の20%のお金が返ってくるというのはかなりお得ですよね。
そして返ってくるお金の金額は所得税率によって決まります。
年収が高いと所得税率は高くなりますから、年収がある程度高い人ほどiDeCoの恩恵は大きいです。
逆に専業主婦(夫)で所得税がかかっていない場合は、iDeCoのメリットは十分に受け取れないため、iDeCoの加入はあまりおススメできません。
iDeCoのメリット②:60歳になってお金を受け取るときの節税効果
iDeCoはお金を入れる時にお得なだけでなく、お金を受け取るときもお得になります。
iDeCoは60歳になったときに、「今まで積み立てたお金+運用益」を受け取ることになりますが、受け取り時も優遇されています。
具体的には、一括で受け取る場合は「退職所得控除」、一括で受け取らず毎月受け取る場合は「公的年金等控除」が適用されます。
この記事では一括で受け取る場合について詳しく解説したいと思います。
通常お金を得た際は税金がかかります。毎月もらっている給料に対しても所得税が取られますし、相続でお金を得たときも相続税がかかります。
iDeCoのお金を受け取る際も税金がかかるのですが、「退職所得控除」という形で優遇されています。
退職所得控除とは退職金をもらうときに考慮されるものです。
退職金は「今ままで会社に勤め続けてお疲れ様」という慰労の意味があるため、税制面で非常に優遇されています。
(余談ですが、たまにニュースで「天下り」というのが話題になりますが、天下りを繰り返す人は退職金を何回ももらっています。給料ではなく退職金として受け取ることで税金が優遇されるため、退職を繰り返す人が出ています。)
iDeCoの受け取りの際も、上記の退職金と同様に、税制面で優遇されているということになります。
具体的には、2つのメリットがあります。
- 一定額まで税金がかからない
- 一定額を超えた分についても税金計算に使われる所得は半分になる
2については少し複雑な計算になるため、別記事で解説したいと思いますので、ここでは1についてだけ解説します。
税金がかからない一定額は、iDeCoの加入年数によって決定されます。iDeCoの加入年数が20年以下の場合と21年以上の場合で計算式が異なるため、それぞれ記載します。
①iDeCoの加入年数が20年以下の場合:iDeCoの加入年数×40万円まで税金がかかりません。
②iDeCoの加入年数が21年以上の場合:800万円+70万円×(iDeCoの加入年数-20年)までは税金がかかりません。
例えば、iDeCoに50歳から加入して60歳を迎えた場合、加入年数は10年なので、400万円(10年×40万円)までは税金がかかりません。
30歳からiDeCoに加入して60歳を迎えた場合、加入年数は30年なので、1500万円までは税金がかかりません。(800万円+70万円×(30年-20年))
もし退職所得控除の優遇がなければ、iDeCo受け取りの際に所得税+住民税がかかることになるので15%~30%の金額が本来は税金として取られるのですが、
上記の金額までは税金がかからないというのがiDeCoが受け取り時も優遇されているポイントです。
そして上記の受け取り時の優遇は、iDeCoの加入年数が増えれば増えるほど税金がかからない金額が大きくなります。
そのため、iDeCoにはできるだけ早く加入するのがおススメです。
ただし、注意点があります。
退職所得控除は、(iDeCoではない)通常の退職金についても適用されます。
仮にあなたの勤めている会社に退職金の制度がある場合、通常の退職金とiDeCoで受け取る金額の合計が上記の税金がかからない金額を超えない必要があります。(超えた分は税金がかかります。)
例えば、通常の退職金で1000万円、iDeCoで1000万円を60歳の時に受け取る場合、
退職金の合計は2000万円ありますので、iDeCoの加入年数が30年あって税金がかからない範囲が1500万円だった場合、
1500万円までは税金がかかりませんが、残りの500万円分は税金がかかります。
それでも上記で記載した「2. 一定額を超えた分についても税金計算に使われる所得は半分になる」というメリットがあるのでお得ではあるのですが、
退職金がない人と比べるとお得度合いは少し減るというイメージです。
iDeCoのデメリット
ここまで見てきたように、iDeCoはメリットが多い制度ですが、デメリットもあります。
最も大きいデメリットは、60歳まで引き出せないことです。つみたてNISAは途中でやめたくなったら資産を売却することができます。(おすすめはしませんが)
iDeCoは一度iDeCo口座に入れてしまうと、60歳までその資金を引き出すことはできません。
そのため、日々の生活で精いっぱいで投資する余裕があまりない、もしくは今後大きい出費があることが分かっているという場合にはiDeCoに加入することはあまりおすすめできません。
また、月々の掛け金もいくらでも掛けられるわけではなく、上限が決まっています。サラリーマンの人の場合は月の掛け金の上限は、23,000円か20,000円か12,000円のいずれかになります。(勤めている会社に企業年金があるかどうか等で異なります。)
企業年金があるなら、個人型年金であるiDeCoは少なめでいいよねという意図ですね。
上限金額は下記のiDeCoのサイトをご確認ください。
この記事のまとめ
iDeCoのメリットデメリットについて解説してきました。
iDeCoはお金を拠出するときに一定額が戻ってくる拠出時のお得と、受け取るときに税制優遇される受け取り時のお得の2つがあり、とてもお得な制度となっています。
ただし、もう一つのお得な制度としてつみたてNISAがあります。
つみたてNISAについては下記の記事をご覧ください。
iDeCoとつみたてNISAの比較については、下記の記事で解説しています。
こちらを読んでいただければ、自分がiDeCoとつみたてNISAのどちらを先に始めるべきなのかがわかりますのでぜひご確認ください。
【投資初心者必見】iDeCoとつみたてNISAの違い【どちらがお得か】
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